夏の訪れ


葉が風に揺れ
滴(しずく)が落ちる

すると滴は
虫たちにしか聴こえない
かすかな音とともに
地面に達する

そして
地面に着いた滴たちは
陽光を浴びて
やがて
夏の匂いを放ち始める


  -『中三時代(10)』(旺文社)作品コーナー三席 1979初出
  -〈童女 M -16の詩-〉新風舎 1980

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